Essay2

記念日のサプライズ

わたしは昔から記念日好きで（私に限らず女性は好きな人が多いだろう）
記念日には何か記憶に残ることがしたい、写真が撮りたい、というタイプ。
ところが、夫はまったくといっていいくらいに記念日には興味がないタイプ。
私たちはとても似たもの夫婦なのだが（と、思っている）、まったく正反対の部分も多い。

年間行事で私がもっとも重要視したいのは結婚記念日、そしてお互いの誕生日だ。
その次にクリスマス、バレンタインデー、ホワイトデーあたり。
私たちはお互いの誕生日とクリスマスまでが11月、12月に集中している。
去年のわたしの誕生日は子供ができて以来、初めての夜の外食をした。
クリスマスはピンキーリングを買ってもらった。
これだけ聞くと、「すごい、いい旦那様」と思われるに違いない。

でもいつも言いだしっぺは私なのだ。
自分の誕生日の計画でさえ私がたてるし、プレゼントもリクエストする。
記念日に限らず、旅行の計画も担当はいつも私。

そう、私には今まで夫からのサプライズがないのだ。
結婚前に付き合っていた期間が短すぎ、
冬に何かと集中しているカップルの行事という行事は
恋愛期間には遭遇しなかった。
付き合って初めての夫の誕生日には入籍でバタバタしたし、
私の誕生日はハネムーン中だった。

去年の誕生日の外食は1ヶ月くらい前から「行きたい、行きたい」
とせがみ予約していいか聞いて自ら電話して予約した。
その日は平日だったので夫は休暇を取るのが精一杯、
もちろんプレゼントなどの用意はない。

クリスマスはクリスマスで、デパートのアクセサリー売り場で
ショーケースにへばりつく私の横で、子守はしていてくれたけど、
選んだものを私が自らカードで購入。
もちろん家計のカードだし、夫のお給料だし、
夫がポケットマネーで買えるほどお小遣いも渡していないし…

でもなんだか物足りないのである。
「きゃあ～、うれしい！ありがとう♪」というシーンがこれまで1度もないのだ。

だけど「そっちこそ何もないやんか」と言われそうなことにふと気づいた。
確かに私から夫へのサプライズもないかも知れない。
バレンタインには当たり前にチョコレートだけだし、
結婚記念日（まだ1回だけしか迎えていないが）に
びっくりディナーを用意したかといえばノーだ。
だいたい夫は好みがうるさくてスーツもネクタイも靴もカバンも一緒に買いに行く。
サプライズなんてしようものなら「これはちょっと気に入らん」と言われかねない。

そういえばわたしも好みがうるさかった。
自分が欲しいもの、したいことを自分で用意する、という合理主義。
…やはり似たもの夫婦。

何事も私が決めるが、夫から「ダメ」と拒絶されたことは1度もない。
文字通り、いい旦那様なのだ！
お花やケーキなどをプレゼントして欲しいというのは単なるないものねだりか。

これから娘が大きくなってきたら、ひな祭りやこどもの日や娘のお誕生日は最重要デーになる。
夫婦間では無理だということを悟ったが、
この子には私なり、夫なりのサプライズを与えてあげよう…
幸せそうな寝顔にそう誓うママなのだった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2006.3